ISAについてのメモ

一週間くらい前の話で恐縮なのですが・・・。
8/1に、マレーシアの首都クアラルンプールで大規模なデモがあり、
警官隊と衝突しデモ隊の人たち約600人が拘束されたというニュースがありました。
その後、数日の間に、ほとんどは解放されているようなんですが、全員解放じゃないんですよね。

ちみに、8月1日の日本語記事はこんな感じ

マレーシアで治安維持法の撤廃求め野党支持者がデモ、約600人逮捕 ロイター
http://bit.ly/8lDo1

当日のデモの様子を眺めていくと


※1'30 後列で放水車による放水が始まる。57"あたりでは催涙弾も確認できる。



Dataran MerdekaとBulatan Bank Negara集合組。もう、最初から放水車とか待機してるし。



SOGO集合組。いきなり逮捕者が出てる様子。催涙ガスが使われていて大変なことになってる。


という感じです。凄いデモ参加者数です。で、見た感じ和やかなデモなのに、いきなり放水と催涙弾。そもそもそれぞれのでもの集合場所で最初から待機しているんですから、警察側もやる気満々なわけです。

Twitterでは、8/1のTrendingTopicsに、#antiISA というタグが上がってきてて、このデモについての写真や映像などが投稿されていました。

ところで気になるのが、"ISA"。「International Security Act(ISA)」という法律で、アムネスティさんが、以前に、非常にわかりやすい報告を出しています。
http://www.amnesty.org/en/library/asset/ASA28/006/2003/en/b90c6cef-d71f-11dd-b0cc-1f0860013475/asa280062003en.html

これによると、

  • ISAは、マレーシアの主要なサービスと経済活動などの治安を犯す活動をしたと「信じられる」「関係している」「だろうと思われる」個人を、警察が証拠や礼状なしで逮捕することを許す法律。
  • 拘束されると60日間の調査が可能。60日経ったら、家庭大臣はISAのアーティクル8に従って、二年間の拘束を求めることが可能。この二年間の拘束は何らかの罪状で起訴されたり、法廷での裁判を抜きでどんどん更新することができる。

など、結構むちゃくちゃなのです。

で、この法律がどういう風に使われてきているかということで・・・。このこのデモを呼びかけているページを見てみると、
http://bit.ly/tvYXo

2chなどでも有名なマルティン・ニーメラーによる詩『彼らが最初共産主義者を攻撃したとき』を、現在のマレーシアの状況にアレンジした映像が配置されてます。この映像が、とてもわかりやすくできてて、ざっと眺めているだけで、なんとなく与党連合・国民戦線(BN)がISAを利用して行ってきた迫害・弾圧の流れを把握することができます。BNに対する反対運動がベースにある感じです。映像の最後に出てくる「秤」は、釣り合った状態がBNのマーク。それが傾いているという揶揄です。

テロップはだいたいこんな感じ。

彼らがHINDRAFを攻撃したとき、私は黙っていることにした。
私はヒンドゥー教徒ではなかったから。
それから彼らはブロガーを拘留した。私は黙っていることにした。
私はブロガーじゃなかったから。
それから彼らはペラ州を攻撃した。私は声を上げなかった。
私は、ペラ州民じゃなかったからだ。
それから彼らはスランゴール州を攻撃した。私は声を上げなかった。
私はスランゴール州民じゃなかったからだ。


最初の、HINDRAFってのは、Hindu Rights Action Forceの略でマレーシアでのヒンドゥー教徒の権利と文化を守る活動をしている団体で、静かな抗議集会を繰り返し行っている。映像のなかには「6歳の少女が逮捕された」というチラシの写真も入っている。HINDRAFについては、マレー系の市民の意識とは当たり前だがかい離している模様です。抗議活動をしていることは知っているし、見ているし、だけどことさらには語らない。

次のブロガーってのは人気の反ISAブロガーたちが逮捕されたこと。映像に出てくるRPK(RAJA PETRA KAMARUDIN)は、Malaysia Today – Your Source of Independent Newsという反ISA超有名サイトの管理人だそうだ。本も出している。※RPKの著書の紹介ページ そもそも、このマレーシアトゥディを見てけば、マレーシアの問題は見えてくる気がするんですがね・・・。この人については、いろいろと調べたいと思いますが、それはまた別。

次のペラ州。これは、ペラ州の政権を与党連合・国民戦線が奪取したという問題を語っていると思われます。与党連合・国民戦線(BN)が、野党連合・人民同盟(PR)の議員4名を寝返らせて、多数を獲得し政権奪取を主張。
ザンブリー・アブドル・カディル氏を州首相にたてたという問題。BN側は今までの首相モハマド・ニザル氏を正統なペラ州首相こそが、正式な州の首相であると主張し、高等裁判所は、ニザル氏を正式な首相であると認める判決を出したが、プトラジャヤ控訴裁判所は、この判決を覆してカディル首相の正当性を認めたという件らしい。404 Not Found | マレーシアナビ!

そして、スイランゴール州こちらも州政権がらみなんでしょうけれど、ちょっと割愛・・・

まあ、映像としては、連邦政府である与党連合・国民戦線が、ISAを武器として反対勢力をつぶしにかかってて自分は関係ないと言ってるうちに、みんな逮捕されたりしちゃうかもよ。という警告になっている。

さて、サイトには、デモのコースとマップもあります。見ると三か所で集合して、それぞれがデモに向かうらしいです。

そしてこちらのサイトでは、マレーシアでデモをする理由が美しい言葉で書かれています。
http://www.sun2surf.com/article.cfm?id=36441


あとは、デモの写真のスライドショーページもありました。
Scenes of the anti- and pro-ISA rallies in KL


8/2日に、今度はデモの拘束者の解放を求める集会がありまして、その様子が以下の映像にあります。

1日のデモでもっとも多数の人々が収容されたBukit policestationの外側で拘束者の解放を求める2日の集会の様子。pm6:00に多数の人々が解放されます。最初にインタビューに答えている赤いキャップの女性ですが、この人はElizabeth Wongさんと言って、元野党議員。ISA反対の活動をしています。おそらく与党連合側の工作と言われていますが、彼女のヌード写真が流出してしまうという大スキャンダルがあり、大騒ぎになって、結局議員辞任したという人です。

ISA問題は、継続的にチェックしていこうと思っています。

というわけで、今回はメモっぽい感じ。